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Single Santa Seeks Mrs.Claus (TV)
    独身サンタのクロース夫人探し

アメリカ映画 (2005)

ドミニク・スコット・ケイ(Dominic Scott Kay)が、次世代のサンタクロースの奥さんになる未亡人の連れ子を演じるクリスマス向きのTV映画。映画の中で、クロース家は、初代のサンタクロース以来、1700年間ずっと一族でこの「仕事」を受け継いできたという設定になっている。これは、東ローマ帝国のリュキア地方(現・トルコ)の町ミラの主教、聖ニコラス(270–343)に由来するものであろう。映画の公開年が2005年なので、1700年前だとちょうど聖ニコラスに該当する。因みに、聖ニコラス(ラテン語でSanctus Nicolaus)が、なぜサンタクロースになったのか? それは、サンタクロースの発音の語源がオランダ語のSinterklaas(シンタクラース)だったことから来ている。アメリカで本格的な移民が始まるのは1620年のメイフラワー号以降。そして、オランダが世界経済の最初の「ヘゲモニー〔覇権〕国家」になったのは1625~75年。アメリカには、オランダの習慣としてのシンタクラースの行事が定着し、19世紀に入りサンタクロースが橇に乗ってプレゼントを持って来るという話が浸透し始め、20世紀に入り定着する。20世紀は、アメリカが世界経済の「ヘゲモニー国家」となったことで、それが世界中にバラ撒かれて現代に至っている。映画では、さらに、クロース家では、①長男がサンタ役を引き継ぐ決まりになっていて、しかも、②それまでに長男は結婚して奥さん(クロース夫人)がいないといけない。しかし、スティーヴ・グッテンバーグ演じる後継者のニックは意中の人が見つからず〔いつも北極にいたのでは見つかるはずもないが…〕、父のニコラスは定年を過ぎてもサンタをやっている。そこで、3年オーバーを区切りに、12月25日の交代日までに、必ずクロース夫人を見つるよう通告される。かくして、次世代サンタのクロース夫人探しが始まる。ドミニク演じるジェイクは、父を亡くし、母はワーカホリックで、いつも寂しい思いをしている7歳の少年。そこで、子供好きのニックに是非父親になってもらいたいと願う。単純で、如何にもTV映画だが、ドミニクは最高にキュート。

ロサンジェルス近郊のシミ・ヴァレーに住むベスとジェイクの母子。ベスは夫を亡くし、広告業界で働くシングル・マザー。子供の頃に、やはり父を亡くし、生き返らせてとサンタに手紙を書き、叶えてもらえなかったので、以来サンタ嫌いになり、ジェイクにもそれを押し付けている。一方、北極にあるサンタを頂点とする大きな組織では、12月に入り、世界中に配るプレゼントの準備に余念がない。そんな中、25日には、サンタの長男のニックが後を継ぐことが決まっている。しかし、その必要条件としての「クロース夫人」が全然決まっていない。そこで、ニックは、シミ・ヴァレーに住む候補者のリストを渡され、「クロース夫人」探しに行かされる。ベスとニックの出会いは、全くの偶然だった。ベスが担当するコマーシャルを街頭で撮影していたところ、サンタ役の「偉い俳優」が相手の少女の台詞の失敗を怒鳴り、仲裁に入ったベスと喧嘩して役を降りてしまう。そこに現れたのがニック。持ち前の優しさで少女もすらすらと台詞が言えるようになるが、その「自然な演技」に感心したベスが、出演を依頼する。これが契機となり、ニックとベス、そして、息子のジェイクとの親密さはどんどん増していき、ニックは、「クロース夫人」にはベスしかないと確信する。ジェイクの手助けもあって、ニックとベスはキスを交わすまでになり、2人のムードは最高潮に達する。そして、ニックは、自分がサンタクロースだとベスに打ち明ける。ところが、元々サンタ嫌いのベスは、どうみても嘘としか思えない話を持ち出され、そのひどい落胆が怒りとなってニックにぶつけられる。ニックは、「クロース夫人」を見つけられないまま北極に戻る。その破局を救ったのは、ベスに対するジェイクの言葉だった。「ニックを信じないと、すべて失っちゃうんでしょ? なら、ニックを信じても、失うものなんかないじゃない」。ベスは、ニックとの再会を願う手紙をサンタに残す。翌朝、親子が起きて行くと、そこにはニックが待っていた。脱線するが、2017年12月22日配信のCNNによれば、クリスマスにサンタクロースがやって来ると信じている子供は、現在でも、6歳児で65%、8歳児で25%くらいだとか。7歳のジェイクはサンタの存在を信じているが、この数値から見ると不思議ではない。

ドミニク・スコット・ケイの主要3作の最初の作品。唯一長髪でなく、男の子らしくて、しかも、とても可愛い。それに、この年代の子供の特徴として表情が様々に変わるが、目がとても大きいので、どんな顔をしていてもサマになっている。私の知る中で、最もキュートな子役の1人だ。


あらすじ

8歳のベスが、サンタに渡す手紙を手に持っている(1枚目の写真)。そこには、「いい子になりますから、パパを返して下さい」と書いてある。ベスは、その紙をミルクとクッキーの後ろに置く。夜になり、サンタが煙突から入ってくる。置いてあったミルクを喜んで飲むが、手紙を読んで(2枚目の写真)、「おお、ベス… そんなもん、袋に入っとりゃせんぞ」と悲しむ。ベスの父は亡くなっているので、生き返らせることはサンタでもできない。ベスは朝起きて、ミルクが飲まれクッキーが食べられているのに父がいないのを見て、サンタを信じるのをやめる。
  
  

それから時は流れ、ベスは結婚し一児をもうける。しかし、夫に死なれてしまい、今は、子育てよりも仕事を優先する仕事人間になっている。仕事の内容は、広告の企画担当。朝も、顧客からクレームの電話がかかってきて、その応対に追われている。ジェイクが、「ママ、クリスマス・プレゼントに 5ドルいるんだ」と言うと、電話で話しながら財布からお金を出し(1枚目の写真)、ジェイクのバッグに入れ、それを肩にかけようとする。ジェイクは、あきらめ顔でバッグを肩にかける(2枚目の写真)。ベスは、電話のせいで会社に遅れそうなので、学校まで車で送ってくると、「いいわ、坊や、降りて、ほら」とジェイクを降ろす。「ジェイク、今夜の帰宅、少し遅くなるかも」(3枚目の写真)。それでも、最後に、「すごーく大事なこと 忘れてない?」と声をかける。「愛してるわ」。「僕もだよ、ママ」。ベスが会社に行くと、ボスに呼び出され、「新進気鋭の ヘネシー・ゲーム社が新しい広告会社を探してる」と言われる。「プレゼンは、いつしましょう?」。「金曜」。「でも、今日は水曜よ」。「ベス、『でも』などはない。新ゲームの発売だ。クリスマスの子供用のプレゼントだぞ。彼らは急いでる。1・2日 徹夜してでも仕事をしないと」と言われる。そして、金曜日、ヘネシー・ゲーム社の社長を交えたプレゼンで、ベスは、「『マイティ・シティ』の購買層は6歳から10歳です。そして、ゲームの発売時期はクリスマス。当然、サンタクロースのイメージでしょう」と提案する。社長:「陳腐じゃないかな?」。ボス:「一流の俳優を起用したら?」。結局、その案で行くことに。社長が帰ると、ボスは、「やったな。これから2日間、寝食を忘れてくれ」と言い、さらに、「明朝、早く来てくれ」とも。「明日の土曜は、ジェイクのバスケの試合が」とベスが言い出すと、「そうか、じゃあ、言うんだな。土曜は無理だから、日曜にご足労願いたいと」と釘を刺す。嫌なボスだ。
  
  
  

一方、北極では… ニックが、父サンタの書斎に呼び出される。「母さんと、わしは、お前の将来の話をしたくてな」。母は「あなた個人の生き方に、口を挟むつもりはないの」と優しく言うが、総支配人のような立場のアーネストが、「『個人』では、ございません。村全体が、ニコラスの決断に影響されるのです」と手厳しい。このアーネストは、『アーネスト、クリスマスを救え!』(1988)などで知られるアーネスト・P・ウォレルの名を借りたものであろう。アーネスト・P・ウォレルは、キャンプや刑務所や学校やアフリカや軍隊に行くなど11本の映画(1986~98年)に登場する架空の人物だが〔典型的なドタバタ喜劇〕、この映画のアーネストは、それとは真逆で、サンタとは無縁の冷静で無感情かつ官僚的な人物。ここで、サンタが本音を言う。「ニック、わしは3年前に 定年を過ぎとる。だから、今年のクリスマスで終わりにしたい」。すかさず、アーネストが、「新しい任期は、12月25日の正午に始まります。良かれ悪しかれ、あなたは、サンタになるのです」。そして、さらに、「あなたがすべきことは一つ。結婚することです。あなたの奥様は、この組織の成功の鍵なのです」と付け加える。サンタも、「わしは 『長』かもしれんが、母さんは 『心』なんじゃ」と諭すように言う。しかし、ニックは、「結婚する相手がいません。長い間 探したけれど、見つからないのです」と反論。アーネスト:「何を、探されました?」。「僕と、心が分かち合える女性、心の友を」。「情熱に任せるには あまりに重大です」。「愛を何だと思ってる?」。「あなたの考え方とは違い、ずっと冷静な契約のようなものです。候補者のリストを用意しました。狭い地域に絞り込みました」と、ニックにリストを渡す。母は、「身を固める頃合ですよ」と再び優しく諭し、ニックは、「分かるけど、母さん、自分で見つけたいんだ」と反論。サンタが、「これまで任せてきたが、ダメじゃった。いいか、クロース夫人のいないサンタなんて…」と言うと(写真)、ここでアーネストが引き取って、「トナカイなしに、橇に乗るようなものです」と冷たく結ぶ。
  

ジェイクが、ベスの友達の家で「SORRY!」というボードゲームをしている。ベスが遅くなるので、預かってもらっているのだ。そこに、ベスがやってくる。「ごめん、遅れちゃって」。「構わないわ。いつも2人で遊んでるから」。「助かるわ」。「いいのよ」。「何か食べてく?」。「サンドイッチかじって仕事したから」。ここでゲームの場面に切り替わる。ジェイクは1人だが、相手は、父親と組んで2人でやっている。ジェイクはそれを羨ましそうに見ている(1枚目の写真)。ベス:「連れて帰るわ。今夜、仕事があるから」。親友:「仕事中毒なのね」。「やめてよ、ジョニー」。「今日は金曜よ。休まなきゃ」。「そんな余裕 ないもの」。「金持ちの独身男性が 日曜のディナーに来るの」。「ジェイクと一緒にいるわ」。「一度、付き合ってみたら? 嫌なら、止めればいい」。「そんな人、私からお金を取るか、子供がいるからって捨てるか、どっちかよ」。この母親、仕事中毒の上に男嫌いときている。ジェイクと一緒に帰宅したベスは、ベッドに横になったジェイクに「日曜には、見たがってた映画、連れてってあげる」と話す。土曜の約束をつぶした代わりだ。「仕事に行かなくていいの?」。「後でやればいい」。ジェイクはあまり嬉しそうでない。ベスが問い詰めると、「アレックスみたいに、パパが欲しい」と言い出す(2枚目の写真)。ベスは、「パパが、天国にいても、私たちと いない訳じゃないの」と慰める。「クリスマス・プレゼントは、マウンテン・バイクをやめて、パパを下さいって頼むんだ」(3枚目の写真)。「そんな願い、叶わないわよ」。「どうして?」。「生き返らせることなんて、できないから」〔前に試したけどダメだった、とは言えない〕。「寂しいよ」。
  
  
  

一方、ニックはシミ・ヴァレー(Simi Valley)にあるホテルに向かう(1枚目の写真)。アーネストが渡したリストは市内に住む女性の名前だ。シミ・ヴァレーはロス中心部の西北西48キロにある人口12万程度の町で、たまたまそこにはベスも住んでいる。ただし、アーネストのリストには載っていない。ホテルはPosada Royale Hotel & Suitesだが、これは実在するホテルで、フロントもセットではなくこのホテルでロケしたもの。「いい日だね」と声をかけたニコラス。「お泊りですか?」。「そうだよ、メアリ」。名札を見て、相手をファースト・ネームで呼ぶ。「ご記入をお願いします。IDと クレジットカードの用紙です」。それに対しては、「これ、ほんとに必要なの? ただのオプションに見える。そう思わないかい?」と書くのを断る〔ニックには IDなんかないし、クレジットカードも持ってないだろう〕。「ええ、まあ、そうかも… でも、フル・ネームが書いてありません」。「ファースト・ネームが好きなんだ。親しみ易いだろ」。「何日ぐらい お泊りになりますか、ニコラス?」。「ニックでいい。決まってない。ある人が見つかるまでなんだ」。「伺ってよければ、どなたです?」。「分かれば いいんだが」。この会話は、受付嬢に多大な印象を残した。かくして、ニックはリストの上から順に訪れて行くが、見ず知らずの男性が呼び鈴を鳴らしてみても、相手にしてもらえるワケがない。結局、アーネストの机上の空論は大失敗で、リストに×印が増えていくだけだった(2枚目の写真)。その時、ニックの行く手の街頭でコマーシャルの撮影が行われていた。ベスが担当し、有名な俳優をサンタ役にし、大橇に乗った少女との会話からゲームソフトのPRにもっていくものだが、少女は最初のシーンでつまずいてしまう。「sleigh〔大型の橇〕」と言うべきところを、何度やっても「sled〔小型の橇〕」と間違える。相手の俳優は、「sledじゃないsleighだ。間違えるな!」と少女に怒鳴り、ベスには、「だから、子供とやるのは嫌なんだ」と不満をぶつける。ベスが、少女をなだめようと、「心配しないで。この人、演技してるだけなの」と言うと、俳優は、「分かっとるのか? ハムレットでローレンス・オリビエと共演したんだぞ」と怒り出す。「もう少し、忍耐強く接して頂ければ」。「忍耐強くだと? そもそも君が…」。ここで、ベスがキレて、「この子は小くて、あなたは大きいでしょ!」と批判する。俳優は、怒って役を降りてしまう。それを見ていたニックは、少女に優しく話しかける。「いいかい、お遊び してみよう。「大橇(オオゾリ)〔sleigh〕の発音、お遊び(オアソビ)〔play〕に似てるよね」と言い、台詞をちゃんと言わせるのに成功する(3枚目の写真)。これを見たベスは、ニックに代理出演を頼む。
  
  
  

学校の体育館で。学校は、TOWMSHIP ELEMENTARY SCHOOL。ここも外観はロケ。体育館の中まではネットで出て来ないのでロケかどうかは不明。そこのバスケットのゴールの前で、ジェイクの好きなジョスリンが、車椅子の兄の指導でシュートの練習をしている。それをドアを少し開けてジェイクがじっと見ている(1枚目の写真、一番ハンサムなショット)。すると、一団の同級生が入って来て、「何、見てるんだ、ジェイク?」と訊く。「何も」。「嘘、言うな。ジョスリンを見てたんだろ?」(2枚目の写真)。ジェイクは、「見てない」と言うが、同級生たちが「♪ジェイクは、ジョスリンが好き」と大声で歌いながら館内に入って行ったので、ジェイクは、もっと大声で「違う! 好きなもんか!」と叫ぶ。当然、ジョスリンにも聞こえてしまう。ジェイクは、外に出てドアの反対側にもたれると、自分の失言に絶望する(3枚目の写真)。一方、ニックの方は、代理のビデオ撮りが大好評。終わった後でベスの部屋を訪れる。その時の会話で面白いのは、ニックがピザ・ハットに感激し、「ウチじゃ、食べられない。配達してくれない」と言うところ。「それって、どこ?」。「北…〔北極と言いかけた〕 北の方さ」。そして、ベスに仕事を訊かれ、「家業を営んでる。父から息子へと、代々受け継がれてきたんだ」と答える。さらに会話がはずむと、ベスにジェイクという息子のいることが分かる。「もし親子で、世界中、どこにでも行けるとしたら、どこに、行きたい?」と訊き、さらに、「スキーは好き?」と訊くが、「いいえ、寒いのは苦手」と言われ、がっかり。「それなら、北極は問題外だな」。「凍っちゃうもの」。ベスと別れた後、ニックはアーネストに出会い、リストの女性と会ったかと やんわりと詰問される。ニックは、ベスの話を出し、アーネストは渋い顔で別れる。翌日、ベスの会社では、ニックを採用することに決め、さっそくベスがホテルに交渉に向かう。ニックはコマーシャル出演を渋るが、ベスの熱意に負けてOKする。その後、またアーネストがやって来る。アーネストは、ニックの父サンタからベスのことを訊き出してきたのだ。そして、「彼女は、候補者になれません」と言い出す。「どうして?」。「サンタクロースの存在を信じてないからです。奥様に必要不可欠な第一条件を満たしません」。しかし、ニックは、「そんなの変えてやる」と突っぱねる。
  
  
  

翌朝、ベビーシッターから電話があって、今日は、ジェイクの面倒を見に行けないと言われる。ジェイクもそれを聞いている。ベスに、「幸運ね。 今日は、スタジオで、ママと一緒よ」と言われた時のジェイクの、何とも言い難い顔が可愛い(1枚目の写真)。かくして、ジェイクはニックと対面する。ベスが、「ニック。息子のジェイクよ」と紹介すると、ニックは、「ジェイク、お会い出来て光栄です〔A pleasure to meet you, Sir.〕」とふざけてみせる。この言葉にジェイクの見せる笑顔は、乳歯が抜けていて最高にキュート(2枚目の写真)。ニックは、「ジェイク・ソーテルかい?」と訊き、「サンタに手紙を書いたこと、一度もないだろ?」と言う。「ないよ。何で 知ってるの? ウチじゃ、サンタに手紙は書かないんだ」。この後、ベスが打ち合わせに行くことになる。ニックは、「カフェで、何か食べてくる」とベスに告げ、ジェイクに「一緒にどう? お腹、空いてない?」と声をかける。「ぺこぺこだよ」(3枚目の写真)。
  
  
  

ニックは、ジェイクと2人になると、サンタの話が気になって尋ねる。「ママのサンタへの考え方、正しいの?」。「君は、どう思う?」。「パパは、サンタを信じてたんだ。でも、ママは信じてない」(1枚目の写真)。「質問してもいいかい?   男、対、男で」。「いいよ」。「サンタクロースを信じる?」。「どうかな。分からない」。「疑問が たくさんあるんだな?」。「どうやって飛んで、一晩で全部の家にプレゼントを配れるの?」。「できない、と思ってる人もいる。お伽話だと思ってる人も」。「大人は みんな、そう言うよ」。「考えてごらん。いいかい… もしかしたら、サンタには魔法の力があって、それを使えば、何でも好きなことが出来るかも、って」。「サンタは、ほんとにいるの?」。「もちろん。信じさえすれば、ほんとにいるんだ」。そこにベスがやって来る。ジェイクは、さっそく、「ニックは、ママがサンタを誤解してるって。サンタは、いるんだ」と御注進。ベスはジェイクを先に行かせると、「ウチでは、サンタの話はしないことにしてるの」と釘を刺す。「あの子は、まだ 信じてるよ」。「ジェイクは今、いろんな体験をしてるの〔Jake's been through a lot〕。一番良くないのは〔The last thing he needs〕、あり得ない夢を見ること」と、さらに牽制。ニックは、なぜベスがサンタクロースを信じなくなったのか尋ねるが、口を濁して答えない。2人はジェイクの元に戻る。ジェイクは、ベスに、「彼、土曜のバスケの試合に来てくれる?」と訊いてみる。母は否定するが、耳に挟んだニックは、喜んで行くと言う。「行きたいんだ。バスケは、かなり巧かったから。チビっこのチームだったけど」〔北極でサンタのために働いているのは全員が小さなエルフ〕。ジェイクは、「やり方 教えてくれる? 僕、下手ッピなの」(2枚目の写真)とお願いする。ニックは、「君がOKで、金曜が時間通りに終わったら、君の家に行って、一対一で 教えてあげよう」と言う。「すごいや!」と大喜びのジェイク(3枚目の写真)。その日の午後(?)、ニックが真面目な顔でベスに話しかける。内容は、自分が「広告」することになっていた子供用のゲームソフトをやってみたら、大問題が見つかったというもの。「レベル1と2は 問題ない。ただ、街を造るだけだ。だが、後半は、嘘ついて、騙して、悪巧みをする。子供には、不適切この上ない」。ベスも、ゲームを見せられ、「こんなの、ジェイクには 絶対やらせない」と同意する。ニックは、「悪いが、こんなコマーシャルには出られない」と告げる。そして、ゲーム会社の社長には、自分から話すからと、ベスを安心させる。ニックは、社長に、「子供達は買うでしょうが、間違っています。初めのうちは いいのですが、最後は 心理戦や駆け引きのゲームです」と言うが、社長は、「なぜ、『マイティ・シティ』と名付けたと思う? 人生そのものだからだ」と受け入れない。「無能で 客には腰が低く 社員には居丈高」なボスは、「どうも失礼しました。こんなバカげた話を聞かされるとは」と社長に謝り、ベスには「決めるんだな。チームの一員になるか、チームから去るか」とクビをちらつかせる。ニックは、父のサンタに携帯で電話し、「マイク・ヘネシーって名前の子、覚えてる?」と訊く〔マイク・ヘネシーは、社長の名前〕。そして、その情報をもとに、社長を説得し、社長に「ニックが、素晴らしい提案をしてくれた。前半は子供用として販売、全体は、成人用として再度マーケティングする」とボスに言わしめる。かくして、ボスは大満足、ベスのクビはつながった。
  
  
  

ニックは、約束どおりジェイクにバスケットを教えにくる。ジェイクにドリブルさせ、シュートが失敗するのを見て、「ジェイキー、君の問題が分かったぞ」と言う(1枚目の写真)。「リズムがないんだ」。「リズム?」。「そう、リズムだ。昔、古代ギリシャでオリンピックが始まった。競技中は、いつも 音楽が演奏されてたんだ。スポーツに、リズムを与えるためだ。それが、君に必要なんだ。ちょっとしたリズム」。それだけ言うと、「パンパカパン」と口ずさみながら、リズムをつけてジェイクにボールをつかせる(2枚目の写真)、そして、「今だ、投げろ」とシュートさせると、見事にゴール。「リズムをつかんだな」。2人は手を握る(3枚目の写真)。端で見ていたベスも飛んできて褒める。「ジェイク、すごいわね!」。「やった〔I nailed it〕!」。ジェイクが水を飲みに行った後、ベスは、「一体どうやったの?」と訊く。「そんなの、簡単さ。リラックスして、ちょっぴり楽しむ」。そして、ニックが「とっても いい子だから」とも言う。それを聞いたベスは、「あの子と一緒にいて、本当に楽しかったのね?」と確かめるように訊く。「もちろん。僕は、いい子の見分けがつくし、彼はいい子だから」。「あなたって、驚くほど 子供と仲がいいのね」。「嫌いになった子なんて、いない。そして、君は… 僕に、自信を与えてくれる」。「良かった。あなたって最高ね」。
  
  
  

その日の夜、ニックは、ベスの家のディナーに招かれる。食事が終わってからニックとジェイクが「クルー」で遊ぶ。日本では「クルード」の名前で販売されている推理ボードゲームだ。ゲームは、慣れているジェイクが優勢で、自慢げな顔が面白い(1枚目の写真)。ゲームが終わりかけた頃、ベスが「ジェイク、寝る時間よ」と声をかける。ジェイクは、「お願い、ママ。あと5分だけ」と頼むが、その時の僅か2秒間の表情の変化が見事だったので、2~5枚目に連続して紹介する。ベスは、「悪いけど、すごく忙しい日だったでしょ。それに、明日は、バスケの試合があるし」と言って、あきらめさせる。そして、ジェイクと一緒に寝室に行く。ニックのことが100%好きになったジェイクは、「今日は 楽しかったよね?」と言い出す。「本当ね」。「ニックが、みんなを幸せにしたの、気がついた?」。「気付かなかったわ」。「ママを 幸せにしたんじゃないの?」(6枚目の写真)。「私とニックのことで、変な気 起こさないで」。「でも、彼 最高だよ。ママがこれまで付き合った人は、僕を好きなフリをしたけど、ニックはホントに僕を好きなんだ」。そして、さらに、「パパも、ニックを気に入ると思うよ」とダメ押し。ニックと母をくっつけようと必死だ。ニックのところに戻ったベスは、「クリスマス・イヴまで、ここに いるのね。その後は?」と尋ねる。「休日の直後、家業を引き継ぐことになってる」。「それを望んでるの?」。「選べないんだ」。「やりたくないのね?」。「違うよ。これは、世界一 素晴らしい仕事なんだ。先祖に恥じないようにしないと」。家業の内容について何も知らないベスは、変な相槌を打つ。「お父さんが プレッシャーをかけるのね?」。「そうじゃないんだ。父さんは立派にやってきたけど、僕には、その自信がない。がっかりさせるような人間には なりたくない」。ここで、ベスのニックに対する好意がようやく現れる。「ニック、会ってまだ日が浅いけど、誰も がっかりさせないと思うわ。あなたがやることには、真心がこもってる。そんな人が、失敗するはずないもの」。
  
  
  
  
  
  

いよいよ土曜日。ジェイクの隣のイスにニックが座って、「やあ、相棒」と声をかける(1枚目の写真)。この時のジェイクの顔は明るかったが、すぐに沈んだ顔になる。ジェイクが女の子を見ているのに気付いたニックは、「可愛い子だな。誰?」と訊く。「ジョスリンだよ。チームで、一番うまいんだ。学校の楽団じゃバイオリンを弾いてる。でも、ちっとも お高くとまらない。他の子だったら、『ねえ、見て見て、私って人気者』って言うんだろうけど、ジョスリンは違う」。そして、「クリスマス・プレゼント あげるんだ。何か、高価なものをね」と打ち明ける。その理由は、映画の初めの頃、ジェイクが、「違う! 好きなもんか!」と叫んだのを悔やんで、穴埋めするため。ニックは、「なあ、ジェイク、贈り物の値段なんか関係ない。大切なのは『心』なんだ。どうかな、いい印象を与えることをしてみたら?」と提案する(2枚目の写真)。「どんなこと?」。「彼女を感動させるようなこと」。「例えば?」。「僕には分からない。自分で、考えなくちゃ。でも、約束するし保証する。お店で買えるどんな物より、もっとずっと心を打つぞ」。それだけ言うと、ニックは、ジョスリンと車椅子の兄のところに行って声をかける。「やあ、君、とっても上手だね」。「どうも、私、ジョスリン。こっちは、兄さんのクリスチャン。家で、練習を手伝ってくれてるの。私よりずっと、バスケ巧いんだから」。ニックは、「これはクリスチャン、初めまして。僕はニックだ」と握手するが、相手の握力に驚いたようなひょうきんな顔をし、それを見た兄は相好を崩す(3枚目の写真)。因みにクリスチャンを演じている そばかす少年は、Cody Arens。前年のTV映画『Plainsong』でYoung Artist Awardsを受賞している。
  
  
  

試合は、残り時間0.01分で22対22。ジェイクのフリースロー。ジェイクは、ボールを投げようとしたが(1枚目の写真)、思い直し、コーチのところに行って「ルールだと、代理 頼めるんでしょ?」と尋ねる〔確かに、スロワー以外の選手交代はOK〕。「いいけど、なぜ?」。ジェイクは、返事の代わりにボールをクリスチャンに渡し、「お手本、見せてよ」と言う。喜んだクリスチャンは車椅子を自分で動かしてフリースローラインに行き、見事にゴールを決める。ホームチームが勝ち、ジョスリンはクリスチャンに抱き付く(2枚目の写真)。選手たちから祝福を受けるクリスチャン。ジョスリンは、ジェイクに「ありがとう、ジェイク」と言うと、頬にキスする(3枚目の写真)。ここでも、ニックの言う通りになった。
  
  
  

試合が終わると、ニックは、ベスに、「午後は、何か予定ある?」と訊き、図書館で子供たちに本を読むので、聴きに来ないかと誘う。それは、「お話の時間 ― 第二外国語としての英語」の時間だった。英語が母国語でない子供たちに、分かりやすく話して聞かせる会だ。ニックが読むのは、『クリスマスの前の晩(Twas the Night Before Christmas)』という絵本。後には、アーネストが監視係のように立っている。途中まで読んだところで、ベスとジェイクがやって来て、図書館の係からサンタの帽子を被せてもらう(1枚目の写真、2人の後ろにアーネストが怖い顔で立っている)。しばらく聴いていて、子供たちの顔を見たジェイクは〔戸惑った表情の子もいた〕、「英語がやっと話せるくらいで、ニックの話、分かるのかな?」とベスに囁く(2枚目の写真)。ベスは、「ニックは読むのがとっても上手だから」と囁き返す。会が終わってから、ニックを褒めた後、ベスは、「私たち、何してたと思う?」と訊く。「何?」。「クリスマスツリーを買いに行ったの」(3枚目の写真)。そして、「一緒に、来てもらえるかしら?」と尋ねる。返事は当然、「喜んで」。
  
  
  

ニックは、ベスの家の居間にクリスマスツリーを据え付ける。「真っ直ぐかな?」。「完ぺき」。ジェイクが「今すぐ、飾ろうよ」と言い出すと、ベスは、「今夜は、もう遅いわ」と許さない。「明日?」(1枚目の写真)。「たぶん。明日は仕事があるから、夜にでもね」。「『たぶん』 は 『ノー』 なんだ」。「まさか。心配しないの。さあ、寝る時間よ」。ベスがジェイクを寝かせに行こうとすると、ニックが、「クリスマス飾り、出しておこうか? すぐ飾れるように」と訊く。「見つかればね。ガレージの、『クリスマス』 と書いた小さな箱の中だと思うわ」。さっそく捜しに行ったニックだが、見つけたのは、本当に小さなダンボールに入った僅かばかりの飾りだけ。ニックは困惑し、そして魔法を使うことにする。一方、ジェイクのベッドでは、ベスが横に寝て、『もみの木』の歌を、子守唄代わりに聞かせている(2枚目の写真)。ベスが、2階から下りていくと、クリスマスツリーには見事なデコレーションがついている。「こんな素早く、どうやったの? どこに こんな飾りあった?」。「君のガレージさ」。「ガレージには ないわ。こんな飾り 見たことないもの」。ニックは、「ガレージの梁の上の追加の箱2つ、見たことない?」と嘘を付く。「いいえ。越して来る前からあったのね。凄いわ」。家を買い換えるのが当たり前のアメリカでは、簡単に信じやすい設定だ。ニックは、「星を 残しておいた」と言って、ツリーのてっぺんに付ける銀の星をベスに渡す。そして、体を持ち上げて星を付けさせる(3枚目の写真)。「これで、完成だ」。ニックがベスの家を出ると、アーネストが現れた。アーネストは、「愛しているんですね?」とあきらめ顔で訊く。「その通りだ、アーネスト。ベスをすごく愛してる」。アーネストは、「私が 挑戦から逃げたとは言わせません。それが如何に不可能でも」と一種の訣別宣言をすると、「私の役目は、クリスマスまでに、あなたの奥様を決めることです。そして、私の候補者は、役立ちませんでした」と現状を正しく認識し、「あと僅か1週間。7日。168時間しかありません。キスはされましたか?」と尋ねる。「いいや。だが、チャンスを待ってるんだ」。「ロマンチックな結婚を望まれるくせに、動こうと なさらない」。「動くって?」。「分かっておられるはず」。「アーネスト、頼むから、僕のやり方に口を出すな」。「どうされるお積りです?」。「彼女と一緒に過してる。僕を知ってもらうためだ。急ぐことはしない」。「急ぐべき時です」。ニックは、アーネストの反対は回避できたが、これからはしつこく進展を催促される。
  
  
  

月曜(?)の朝、アーネストの強引なサジェスチョンでバラの大きな花束とチョコレートの箱を買ったニックは、ベスのオフィスを訪れる。「今夜、2人だけで食事しない?」と声をかけ、OKが出そうになるが、その時、ボスが入って来て、「今夜はヘネシーと会食だ」「7時半に迎えに行く」と邪魔する。そこで、ニックは、「今夜、僕が、ジェイクの相手をしようか?」と申し出る。もちろん、大喜びでOKされる。そして、その日の夕方。ニックとジェイクは「グーチョキパー〔Paper, rock, scissors〕」で遊んでいる。そこにボスがやって来て、ベスを連れていく。ベスが最後にかけた言葉は、ジェイクには、「おとなしく寝るのよ。言われたら、ベッドに行きなさい」。ニックには、「いろいろありがとう、ニック」。2人が並んで聞いている(1枚目の写真)。ベスが出て行くと、ジェイクが寂しそうな顔になる(2枚目の写真、キュート)。それを見たニックは、「チョコアイスは、どこに、置いてあるのかな?」と訊き、場所が分かると、「あの中か? じゃあ、行こう!」と体を抱えて連れて行く。それから かなり時間が過ぎ、ジェイクはとっくに寝て、ニックが暇をもて余してベスの帰りを待っている。ようやく帰宅したベスは、ニックの好きなホット・チョコレートを作る。2人の会話がはずむ。関連する部分だけセレクトすると… 「サンタクロースを信じるの、なぜ、やめたんだい?」。「私、8才の時、サンタを信じるの やめたの。一つだけ どうしても叶えて欲しいことがあったけど、ダメだった。だから、信じるの やめたの」(3枚目の写真)。
  
  
  

翌日の午後4時、ニックは3度目にベスの家を訪れる。3人は「ツイスター」というボディ・バランス・ゲームで遊ぶ。ジェイクがスピナーを回転させ、ニックかベスのどちらかが、次に置くべき手か足の場所の色を指定し、その指示に従って、2人が順番に体を動かしていくゲームだ。「左手を赤だよ、ママ」。赤、青、黄、緑の円が6個平行に描かれたシートの上で、2人の体が絡み合っている。2人の両手両足は、どこかの円の上に乗っている。ベスの右手は6番目の黄丸の上。それを、青の列を飛び越えて5番目の赤丸の上に置く。「右手を黄色だよ、ニック」。さらに、「左足を緑へ」「左手を緑へ」… 2人が苦労しているのを見てジェイクが笑う(1枚目の写真)。スピナーは何度も回り、遂に2人は重なり合って倒れる(2枚目の写真、「ツイスター」の6個×4列のカラー円のシートの意味がよく分かる)。そこに電話がかかってくる。ジェイクは、「僕が出る」と言って家の中に入って行くと、電話をとる(3枚目の写真)。かけてきたのは、ボスだった。「ジェイク。ウェストさんだ。お母さんはいるか?」〔自分の姓にMr.をつけるなんて、嫌な上司だ。ママと言わずにお母さんと言うのも堅苦しい〕。ジェイクは、「番号違いだよ」と言って電話を切り、これ以上邪魔されないよう、コードも抜いてしまう。映画は、この直後、夜に変わり、ベスが、「やっと、寝かし付けたわ」と2階から下りて来る。ニックとベスは、仲良くベランダのベンチに座る。「2人だけね」。「きれいな夜だ」。「そうね」。「こんなに、順調に行くなんて」。「あなた、ケイリー・グラントみたい」。「ヒュー・グラントですらない。普通の男さ… 月の明るい夜に素晴らしい女性と一緒にいる男」。「ありがとう」。「ファース・キスの機会をくれれば、僕は完璧になれるんだ。キスしていい?」。ニックがキスしようとした時、玄関のチャイムが鳴る。押したのはボス。入ってくるなり、「やっとだ! 4時間も連絡してたんだぞ!」と怒る。ジェイクが電話を不通にしたからだ。ベスは、「アンドリュー、夜中の10時なのよ!」と抗議するが、「もし印刷しなかったら、間に合わなくなる」と言い、自分の案をボツにされた理由をしつこく訊く。ニックはあきらめて家を出て行く。
  
  
  

ボスは、自分のアイディアが如何に的外れで、ベスが如何に優れているかを思い知らされ、「ベス、実は、君に、副社長になってもらいたい」と言い出す。「君には素晴らしい才能がある。自覚してるか? 君なしでは何もできない」。これに対し、ベスは、「何と言えばいいのか…」と迷う。「すごく気前が良くて、素晴らしい申し出ですが、考えさせてもらわないと」。「何を、『考え』 るんだ?」。「いろいろと。一つは ジェイクのこと」(1枚目の写真)「昇進は、私だけでなく、あの子にも影響します」。この後ろ向きの反応にボスは不満だ。「君の将来がかかっているのが、分かってるのか? まあいい。約束だぞ。よく考えて、明日答えるんだ」。翌朝、ニックが、「♪クリスマスおめでとう」と口ずさみながらホテルの階段を下りてくると、アーネストが待ち構えている。開口一番、「彼女、クリスマスを信じましたか?」。「まだだ。今、努力してる」。「キスは、しましたか?」。「いいや」。アーネストは切羽詰っている。「いいですか、あと僅か56時間で」(2枚目の写真)「お父様は最後のクリスマスに出発されます。そして、正確に69時間後、あなたはサンタクロースになります。ですから、それまでに彼女を信じさせませんと」。一方、ベスはその日も仕事に追われ、帰宅したのは夜遅くなってから〔昇進に対し、ボスにどう答えたかは分からない〕。ジェイクはもう寝ている〔いつものベビーシッターが面倒をみていた?〕。ベスは、眠っているジェイクに向かって、「ごめん。また遅くなって」と謝る。ドミニクは、寝顔も可愛い(3枚目の写真)。
  
  
  

翌日(23日)、ボスが、「それで、キャンペーンは終わったのか?」とベスに訊く。ベスは、とんでもないといった表情。「じゃあ、明日までに終わるんだな?」。「明日の夜は、クリスマス・イヴだから、ここには来ないと思うわ」。ベスは、昇進に対しては完全に「No」と言ったことがこれで分かる。後で、ベスがニックと会った時、断った理由を訊かれ、ベスは、「それはね、ずっと忘れていたことが分かったの。私たち 一緒になる運命なのね。そして、あなたは、私を幸せにしてくれる」と言う。そして、2人は初めてキスを交わす。シーンは、そのまま夜に変わり、場所も会社の駐車場からベスの家に変わるが、2人のキスは続く(1枚目の写真)。それを見たジェイクは、「やった!」と喜ぶ(2枚目の写真)。ニックは、「空から星を全部盗ってきて、微笑んでくれる度に、好きなのを君にあげよう。君を幸せにできるって最高の気分だ」と話しかけ、ベスも、「あなたのような人が現れるなんて、想像もつかなかった」と応え、2人のムードは最高潮。そこで、遂にニックが打ち明ける。「ベス、君に黙っていたことがある。僕には秘密がある」。誤解したベスが、「結婚してるのね」と悲嘆にくれると、「違うよ」。「ならいいわ」。「悪いことじゃない。素晴らしいことなんだ」。そして、「僕は、サンタクロースだ」。当然、ベスは信じない。誰だってそうだろう。「あなたが サンタクロース?」。「そうさ。なるんだ、あと2日で」。純真なジェイクは、それを聞いて、「分かってた!」と言って、大喜び(3枚目の写真)。「みんな魔法だったんだ! 絶対、サンタさんだ!」「トナカイ、どうやって飛ぶの?」。ニックはその質問に答え、ベスには、「1700年もの間、僕の一族が担ってきた。初代の聖ニコラス以来、綿々と、長男によって受け継がれてきた。今年、僕は、父さんからトナカイを任されるんだ」と話す。しかし、ベスは、「もう、十分だわ」と激しく反撥。ジェイクが、「ママが好きなんでしょ? すごいや! サンタさんが パパになるんだ!」と感激しても、「やめなさい」と𠮟る。「ニック、笑えないわ」。「笑わせようとなんか、してない。君は、僕にサンタの役をさせた。君は、そんな僕を信用したろ。今度は、本物のサンタだと信じればいいんだ」。ベスにとっては、昇進を断ってまでニックとの愛に生きようとしたのに、ニックが変人だと分かったことは大ショックだった。だから、「何ですって?! あなた変人なの? やめてよ!」と怒鳴る。ニックは、「信じ難いことは、分かる」と粘る。「あら、そう?」。「君は、僕を知ってるはずだ。僕を 信じてくれよ。信頼してくれよ」と懇願する。しかし、ベスの耳には入らない。「何、言ってるのよ? なぜ、こんな仕打ちするの?」。「僕を信頼してくれないと! 信頼とは…」(4枚目の写真)「証拠がなくても信じることだ!」。さらに、「ジェイクは僕を信じてる。なぜ、そうしない?」。「彼は子供よ。話が うま過ぎると分かってた〔I knew it was too good to be true〕! やっと、好きな男に遭えたと思ったら、自分をサンタだと思い込んでる!」。ここで、ニックは、切り札を出す。「サンタを信じるのをやめた最後のクリスマス、君は手紙を書いたろ」。「子供なら みんな書くわ」。「君は、お父さんを返して欲しいと頼んだ」。「どうして知ってるの?」。ニックがその理由を言えば、ひょっとしたら理解を得られたかもしれない。しかし、ニックは一般論に話を移してしまう。「君がそばにいないと、僕はなすべきことができない。頼むから僕を信じてくれ」。それに対し、ベスは、「頼むから 出てって! 二度と来ないで」と追い出す。
  
  
  
  

クリスマス・イヴの日、ジェイクは、ベスに、「ニック、行っちゃったの?」と訊く。頷くベス。「二度と、会えないんだね?」(1枚目の写真)。「そうね」。「どうして、あんなに怒ったの? ママを、悲しませちゃったから?」。「そうよ」。「愛してたんでしょ? 僕には、理解できないよ。ニックを信じないと、すべて失っちゃうんでしょ?」。「そうね」。「なら、ニックを信じても、失うものなんかないじゃない」(2枚目の写真、表情が実にいい)。見事な論理だ。7歳のジェイクに言わせるには、出来過ぎだとは思うが、ジェイクが最も活躍する場面なので許される。この言葉を噛みしめたベスは、自分の過度の失望が最大のチャンスを消してしまったことに気付く。そして、ジェイクを呼ぶと、ホテルに直行。ジェイクを抱いたまま、「ニックはどこ? 用があるの」とフロントに向かう。「チェック・アウトされました」。「何ですって? どこに行ったの?」(3枚目の写真)。「見当もつきません。住所を書かれなかったので」。それを聞いたベスは、ジェイクに「もう会えないわね」と話しかける。ジェイクは涙をためた目でベスを見る(4枚目の写真)。「ごめんね、ジェイク」。
  
  
  
  

北極では、サンタが出発しようとしている。「お前は、彼女を愛したんじゃろ? 愛することが出来たことで、お前は立派なサンタになれる。たとえ、お前が一人でもな」。そして、「すべて、うまくいくじゃろう」と言い残して、贈り物を配りに出かける。一方、ベスは、必死に手紙を書き、ミルクのコップと、サンタの顔の大きなクッキーのところに置く(1枚目の写真)。煙突から入って来たサンタは、手紙を読んで、「これなら、望みを叶えてやれる」と嬉しそうに笑う(2枚目の写真)。
  
  

クリスマスの当日の早朝、ベスがジェイクを叩き起こす。「どうして、朝早く起こしたの?」。「サンタさんが、お願いしたもの持って来てくれたか、見たくないの?」。2人が階段を下りたところで見たものは(1枚目の写真)、クリスマスツリーの前に、サンタ服を着て座っているニックだった(2枚目の写真)。ベスはニックに飛びつきキスをする。ジェイクは、「僕も入れてよ」と催促。「ごめんよ、相棒」。そして、3人で抱き合う。ベス:「夢が叶ったわ」(3枚目の写真)。ニック:「君に、渡すものがある」。ニックはベスの前にひざまずくと、指輪を手にして、「ベス、僕と、結婚してくれる? クロース夫人になって欲しい」と頼む。「はい」。ジェイクが、「僕のパパはサンタさんだ!」と言ったところで、映画は終る。
  
  
  

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